教材モデル生物:ミジンコ編

教材モデル生物:ミジンコ編(2014.6.5)

「理科」「生物」の教科書に必ず出ているプランクトンの1つミジンコ。しかし、実際に顕微鏡で見てみると写真だけでは分からない生命の躍動を感じることができるでしょう。

【ミジンコの大きさ】

池や田んぼの水を見ていると何か小さなものが動いていることがあります。ミジンコもその一つです。

肉眼では単に小さな白い点に過ぎませんが、目を凝らせば細い触覚や身体の中に黒いものが見えることもあります。
見えそうで見えない。そのサイズが興味をかき立てます。

【からだの中が透けて見える】

ミジンコの面白さはからだは透き通っていること。比較的拡大率の低い実体顕微鏡(解剖顕微鏡)やルーペだけでもさまざまな器官があることがわかります。
クルクル動く目(複眼)はもちろん、激しく拍動する心臓、取り込んだ植物プランクトンなどを消化している腸、胸のあたりでは付属肢を盛んに動かしている様子などを見ることができるでしょう。
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顕微鏡を使って拡大率を上げると第一触覚のようなさらに細かい構造や、複眼を動かしている筋肉、触覚を動かしている筋肉、血球の流れなども見ることができます。

【ミジンコは通常メスだけで増える】

ミジンコは背中の育房という器官で卵を育て、卵はここで孵化し泳いで出て行きます。
ミジンコは単為生殖といって通常はメスだけで増えていきます。
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しかし、繁殖が困難な状況、気温が下がったり水不足になるとミジンコはオス(左)を産むようになります。このオスと交尾したメスは休眠卵(右)という悪条件に強い卵を産むようになります。
田んぼでは春になって気温があがり水が張られるとこの休眠から孵化するのです。

【飼育が簡単】

ミジンコは飼育が容易なので教材としても使いやすい生きものでしょう。
弊社では現在3種類のミジンコを飼育しています。
写真左はアミメネコゼミジンコ(Ceriodaphnia reticulata)。バケツに煮沸した田んぼの土と水草や貝などをいれており時々水を足すだけで2年近く安定しています。
右のミジンコ(Daphnia pulex)には別に培養しているクロレラを時々与えています。
スタート時は4リットルのボトルに20匹ほどでしたが、急に増えているので頻繁に様子を見ているところです。
いずれアミメネコゼミジンコ同様の安定した環境を作るつもりです。