これで使える顕微鏡・上級編(02):RMS規格(有限光学系)のメリットと注意点

顕微鏡にはRMS(英国王立顕微鏡学会・Royal Microscopical Society)という規格があって多くの製品がこれに基づいて作られてきました。そのため部品のメーカーが違っても一部部品の交換が可能なのです。
現在の最先端研究で使われている顕微鏡の多くは無限光学系というこの規格当てはまらないものなのですが、今でもRMS規格の顕微鏡は作られています。これを知っておくといいこともあるのでポイントを簡単に紹介します。(2020.5.5~)

【RMSについて】

RMSは英国王立顕微鏡学会(Royal Microscopical Society)の略称で1866年の設立です。詳細は省きますが要はここで顕微鏡についての共通規格が設けられたということで大事なところは以下の3点です。
・対物レンズの取り付け系=20.32mm
・接眼レンズの差し込み系=23.2mm
・機械的鏡筒長=160mm

【いいとこ取りで自由な組み合わせが可能】

RMS規格で作られたものなら好きなように組合せて使えるということです。とりあえず顕微鏡を1台買っておいて、たまたまいい部品が手に入ったら付け替えてレベルアップできるということです。
私もキメラスコープとしてオリンパスHSにニコンのレンズをつけて持ち歩きはじめましたし、今では古いNikonのボディにそれ以降のレンズをつけて使っています。私の知人にはこれを利用してオリンパスのボディにニコンのレンズをつけて使っている人もいます。

【鏡筒やコンデンサーは対象外】

ただしこれはかなり昔に作られた規格でもあり、その他の部品はメーカー独自のものが多くあります。
例えば鏡筒はたいていメーカーが違うと付けられません。
コンデンサーにもそれが言えて、写真左はNikonS型用、右はオプチフォト用のPhaseContrastです。右は後発なのでそれまでのボディを活かすため先端形状が同じになっているため、古いS型に使うことができます。
ただしオプチフォトは裏側にある溝の部分で接続するので右のコンデンサーをS型に使うことはできません。

【レンズについては組合せに注意が必要】

接眼も対物もレンズはどれも着けることはできます。
ただレンズには収差がつきものでメーカーごとにいろいろな対応をしています。(収差については前ページにリンクがありますのでそこでご確認ください。)
対物および接眼レンズを組み合せて使うことを前提に、対物レンズで出た色収差を接眼レンズで戻しているものがあります。この場合はメーカーごと、さらには同一メーカーでも製品のシリーズによって組み合わせに制限があります。
それでも高級な対物レンズを使うと収差以上に解像度が得られることもあります。こればかりは個人の納得の問題です。

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