これで写せる顕微鏡(11):使いはじめのセッティング

カメラを手に入れてただ取り付ければいいというものではありません。顕微鏡撮影に合わせたセッティングが必要です。ここではPanasonicLumixGH5を例にいくつか紹介します。(2020.8.18~修正あり)

【レンズなしレリーズを許可】

最近のカメラはレンズとの組合せで高度な機能を発揮します。ところが顕微鏡はそれに対応していないので通常使われるレンズを外すとカメラが機能しなくなることがあります。
そんな時はレンズがなくても機能するように設定を変更します。

【画質と解像度】

基本的にはカメラの最高画質と最高解像度にしておけばよいかと思いますが、画質を上げるとデータ容量も増えます。自分の目的に合わせてセットしましょう。
多くのカメラはJPEGとRAWデータでの記録が可能ですが、RAWデータは容量が大きくきちんと扱う必要もあるのでまずはJPEGにしてはいかがでしょう。
A4の写真印刷で150dpiとするなら約200万画素。顕微鏡ではレンズが倍々になることからトリミングを想定しても800万画素で足りるはずです。

【電子シャッターでブレを防ぐ】

顕微鏡撮影で拡大するとその分だけブレも目立ちます。カメラの振動は大敵です。
シャッターには機械的に動作するメカニカルシャッターと電気的に処理する電子シャッター(オリンパスでは静音?)があります。基本的には電子シャッターを選ぶことをお薦めします。

【ブレ防止にセルフタイマーを利用】

シャッターボタンを押してカメラの揺れが収まったところでシャッターを切るということではセルフタイマーが活用できます。
ただし動く対象ではタイミングがずれること。2秒だと揺れが収まっていなかったり、10秒では待っている間がストレスになるでしょう。撮影する数が多くなればなおさらです。

【露出の確認は常時プレビューで=Mモード】

カメラによっては実際にどのような明るさで写るかとは関係なく勝手にちょうどいい明るさを判断して表示してくれることがあります。余計なお世話ですね。シャッターボタンを押したら真っ白、真っ黒ということになることがあります。
GH5では常時プレビュー(Mモード)をONにすることでこの問題が解決できます。ダイヤルはMに合わせます。
一般的な写真撮影ではグレーが基準とされますが、顕微鏡では明視野では背景が白、暗視野では黒と極端になるので重要な設定です。

【ホワイトバランス】

これはマニュアルで設定します。カメラのホワイトバランスW.B.ボタンを押すと自分で設定することができます。多くのカメラは写真左のようなマークが出てきます。そこでプレパラートでフォーカスを合わせたあとで何もないところに移動してボタンを押してホワイトバランスをセットします。
私は複数のライトを使うのので「1」~「3」にはそれぞれを設定し、その都度調整する場合は「4」を使います。

【ISO感度は上げ過ぎない】

動くものを止めたいので少しでもシャッター速度を速くしたい。通常レンズの絞り同様顕微鏡ではコンデンサーの絞りでも光量は変わりますが、絞りは観察の目的に合わせて使うもので光量調節に使うべきものではありません。
対策の1つはランプを明るいものに替えることですが難しいこともあるでしょう。
もう1つはISO感度を上げることです。ただし一般的に感度を上げるとノイズが乗って画がザラつくようになります。どのくらいのノイズを許容するかです。
高感度の画質についてはカメラの機種によって大きく異なります。これを得意と宣伝しているものもあるので調べてはいかがでしょう。

【コントラストや彩度は自分なりに】

あとから画像処理ソフトを使える方はノーマルもいいですが、コントラストや彩度をカメラで上げておくのも1つの方法です。

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