食虫植物って、どんな植物?

食虫植物の定義

「食虫植物」という言葉は分類学上の定義によるものではありません。虫を捕まえて栄養源にするという生態的な特徴に対する名称です。食虫植物研究会の柴田先生は著書の中で次の5つの条件を満たすものとしています。

虫を誘う

他の植物と同じように食虫植物は自分で動き回ることができません。そこで目立つ花をつけたり虫の好む匂いを出したりして虫をおびき寄せます。これはパイオニアプランツ[リンク↓]としては特に重要なことになります。

虫を捕まえる

おびき寄せた虫はいろいろな方法で捕まえますがその方法(=捕虫様式)は5種類に分類されています。食虫植物の多くは葉を変形させた「捕虫器」で虫を捕まえます。

虫を消化する

食虫植物が食べるのは虫の肉の部分です。酵素で分解して水溶液にします。しかし虫の殻(=外骨格)は溶かさないので虫は形を残しますが中はスカスカになっています。

虫のからだから栄養を吸収する

水溶液となった栄養は食虫植物に吸収され、細胞の中へとしみ込んでいきます。

吸収した栄養を生長に役立てる

吸収した栄養は食虫植物の生長に役立てられ、さらに花をつけたり種をつくるためにも役立てられます。

痩せた土地を開拓するパイオニア・プランツ

栄養の多くを根から吸収する普通の植物は、栄養の少ない土地ではうまく育ちません。その点、食虫植物は、つかまえた虫からも栄養を吸収するので、痩せた土地であっても育つことが出来ます。食虫植物が何代もわたって育つと、枯れた葉や茎が肥料となり、その土地の栄養は豊になっていきます。痩せた土地を開拓し、栄養豊にすることから、食虫植物は「パイオニア・プランツ(先駆植物)」とも言われます。

特徴1:痩せた土地を開拓するパイオニアプランツ

植物の生長=光合成には「炭酸ガス」「水」「光」が必要ですがそれだけで十分という訳ではありません。肥料として挙げられる「窒素(N)」「リン(P)」「カリ(K)」なども必要です。いくら水が豊富で日当りが良くても他の栄養がまったくないところでは植物は生きていかれません。食虫植物はこれらの元素を虫の体から得ることができるため他の植物がいない土地に進出することができるのです。これが開拓者=パイオニアと呼ばれる理由なのです。

特徴2:根の貧弱なものが多い

植物の根には「養分の吸収」「からだを支える」という大きく2つの役割があります。しかし、土地が痩せていて根から栄養分が吸収できないからこそ虫を捕まえるのが食虫植物。また湿地でからだを支える必要がないこともあります。そんなことから食虫植物は根の貧弱なものが多く見られます。

特徴3:花の柄が長い

食虫植物は虫からもらっていますが、他の植物と同じように花をつけて花粉や種を運んでもらって繁殖につなげていることもあります。そんな虫を食べてしまっては意味がありません。そこで虫を捕まえる捕虫器と花を離すために花茎が長くなっているものが見られます。

特徴4:植物同士の競争には弱い

虫を捕まえるのだから強い植物だと思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。誰もいない痩せた土地では自分だけが生育できるのですが、自分が開拓して土に栄養分が溜まってくると他の植物も生育できるようになっていまいます。そうなると後からきた植物との競争に負けてしまうのです。