「食虫植物」という言葉は分類学上の定義によるものではありません。虫を捕まえて栄養源にするという生態的な特徴に対する名称です。食虫植物研究会の柴田先生は著書の中で次の5つの条件を満たすものとしています。
他の植物と同じように食虫植物は自分で動き回ることができません。そこで目立つ花をつけたり虫の好む匂いを出したりして虫をおびき寄せます。これはパイオニアプランツ[リンク↓]としては特に重要なことになります。
おびき寄せた虫はいろいろな方法で捕まえますがその方法(=捕虫様式)は5種類に分類されています。食虫植物の多くは葉を変形させた「捕虫器」で虫を捕まえます。
食虫植物が食べるのは虫の肉の部分です。酵素で分解して水溶液にします。しかし虫の殻(=外骨格)は溶かさないので虫は形を残しますが中はスカスカになっています。
水溶液となった栄養は食虫植物に吸収され、細胞の中へとしみ込んでいきます。
吸収した栄養は食虫植物の生長に役立てられ、さらに花をつけたり種をつくるためにも役立てられます。
栄養の多くを根から吸収する普通の植物は、栄養の少ない土地ではうまく育ちません。その点、食虫植物は、つかまえた虫からも栄養を吸収するので、痩せた土地であっても育つことが出来ます。食虫植物が何代もわたって育つと、枯れた葉や茎が肥料となり、その土地の栄養は豊になっていきます。痩せた土地を開拓し、栄養豊にすることから、食虫植物は「パイオニア・プランツ(先駆植物)」とも言われます。